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ネオニコチノイドのリスク~神経毒性・残りやすい・浸透しやすい~【Organic Beauty Channnel】

2021年02月10日 配信 | コラム, ニュース, 学ぶ

皆様はネオニコチノイドという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。オーガニックや自然栽培を理解し語るうえで、ネオニコチノイドは外すことのできない農薬成分です。

日々の食材選びにとどまらず、世界の食糧生産の動きを知る上でも、ぜひご一読いただければ幸いです。

 

世界に広まったネオニコチノイド
「浸透性殺虫剤」ともいわれるネオニコチノイド系農薬(※1)は、比較的新しい農薬で、ニコチンに似た成分をベースとしています。
1990年代に登場した当初は、「人には安全で、よく効く農薬」として認識され、「有機リン系の農薬」に代わるものとして瞬く間に世界中に広がりました。日本でも農業用はもとよりガーデニングや家庭用殺虫剤、ペット用のノミ駆除剤や、建材の一部に使用されています。

しかしながら今では健康や環境への高いリスクが指摘され、ヨーロッパや南米、オセアニア、アジアなど、世界各国でその使用が規制されるようになりました。いったい、ネオニコチノイドとはどのような成分なのでしょうか。

 

ネオニコチノイドのリスク~昆虫ヘの神経毒性
「ミツバチがいなくなると、世界中の食べ物が激減する?!」
花粉を媒介する者のことを「ポリネーター(花粉媒介者)」とい言います。ポリネーターがいなければ多くの植物の受粉が成り立ちません。それはすなわち世界の食糧危機を意味します。

このポリネーターの中で最も貢献度の高い生き物はやはりミツバチでしょう。果物や野菜など、世界の農作物の約三分の一の受粉を担っているとされています(※2)。そんなミツバチの生殖能力を低下させ、さらには飛行能力、学習能力、健康に深刻な悪影響を及ぼす原因の一つがネオニコチノイドなのです。ミツバチがいなくなれば、スーパーに野菜がなくなり、食卓にパンがなくなる…そのような未来を皆さんは想像することができるでしょうか。

 

ネオニコチノイドのリスク~人への神経毒性
「人間の脳の発達にも影響を及ぼす?!」
残念ながらネオニコチノイドは人の健康にも影響を及ぼします。たとえば記憶することや学習することへの影響、つまり「脳の神経発達」に対して、EUはネオニコチノイドとの関連の可能性を発表しました(※3)。
日本でも、ADHDや自閉症との関連を懸念する声が上がっています(※3)さらには、きわめて濃度が低いものの、ネオニコチノイドは妊娠中の哺乳類の胎盤を通過し、胎児に移行していることが、動物による実験の結果、報告されています(※4)。

ネオニコチノイドのリスク~浸透性
「植物の隅々にいきわたる」
ネオニコチノイドの浸透性は高く、植物の花粉や密、葉っぱの先までその成分がしっかりと行きわたります。そのため洗っても残留農薬を落としきることが困難です。

また、水に溶けやすい性質のため土や地下水、川や海を通して広い範囲にまで拡散されていきます。拡散された先で別の植物が根っこからそれを吸い上げ、その花粉を昆虫や鳥が媒介する…というように、汚染が拡大しやすいことも特徴の一つです。

 

ネオニコチノイドのリスク~その3残留性
「土の中によく残る」
ネオニコチノイドを使用するメリットは効き目が長いということにあります。なんと使用後に数か月から数年間、その毒性が持続するのです。
しかしこれは土壌環境にとってはデメリットともなります。ネオニコチノイドが分解されてできた物質の毒性は(代謝物・化合物)元々の毒性と同じくらい、またはそれを上回る場合があるとされています(※5)。

 

世界で規制されるネオニコチノイド
このようにネオニコチノイドの特徴は、大きく分けて3つ。神経毒性・浸透性・残留性にあります。そのリスクの高さから、世界では全面使用禁止の措置、あるいは屋外での全面使用禁止、または農薬の新規登録の中止等、規制の動きが広がっています。
例)EU:2018年12月3種のネオニコチノイド系農薬について屋外全面使用禁止施行/ドイツ:2015年冬小麦の種子への使用とその輸入禁止/フランス:原則18年9月より全てのネオニコチノイド系農薬を全面禁止/英国:2017年11月 2種の包括的な禁止について規制継続中/トルコ:2018年12月 3種のネオニコチノイド系農薬について使用禁止の緊急命令/アメリカ:2019年5月 バーモント州、農家などを除きすべての個人による屋外使用を禁止する州法制定/カナダ:2019年4月3種のネオニコチノイド系農薬についてカナダ保健省は2021年から規制強化を発表/ブラジル:2015年3種のネオニコチノイド系農薬について綿花の開花期に周辺での使用を禁止/台湾:3種のネオニコチノイド系農薬について17年5月ライチとリュウガンに対する使用を2年間禁止/韓国:3種のネオニコチノイド系農薬について、14年3月EUに準拠して使用禁止

 

世界と逆行する日本
ところが日本では2015年~2017年にかけて、ネオニコチノイドの大幅な規制緩和が行われました。一部、残留農薬の基準値が高められ、新しい種類のネオニコチノイドも承認されたのです。日本は今や有数の「ネオニコチノイド使用国」といえるでしょう。

日本:2015年~2017年にかけて一部残留基準値緩和(2種)、大幅な残留基準値緩和(2種)、一部基準値を低減(1種)、残留基準値を低減(1種)、新規承認(3種)。4種のネオニコチノイド系農薬について、21年度優先再評価を告示(規制強化となるかは不明)(※6)

 

オーガニックを選ぶとはどういうことなのか
●農業政策に対する意思表示の一つ
こういった状況に危機感を覚え、日本の様々な団体、政治家からも「ネオニコチノイドを規制しよう」という声が上がっています。各地でシンポジウムや勉強会が広がり、SNS等で情報を拡散・収集する人たちも増えてきました。
そんな中、オーガニックの食品を選ぶということは、ネオニコチノイドの使用規制に対する意思表示のひとつともなります。

●健康リスクを避ける行為の一つ
また、体内のネオニコチノイド系農薬の量は、オーガニック食材を食べることによって減少することがわかっています。
NPO法人福島県有機農業ネットワークと北海道獣医学部毒性学教室の調査によると、オーガニック食材を5日間とり続けることで体内の農薬(ネオニコチノイド)量が約半分となり、一か月続けると約1割にまで減少したとの結果が報告されました。

●持続可能な社会を構築するための具体的な行動と意思表示の一つ
また、オーガニックを選ぶことは生態系や環境汚染への悪影響を少しでも抑制することにつながります。まさにSDGsは食卓から、といえますね。

 

ネオニコチノイドについての研究や、生態系・健康についての調査はまだ十分ではありません。今後もケイフィールズでは情報を集めていくとともに、今回のテーマが皆様と一緒に食の未来を考えるきっかけとなれば幸いです。

 

※1:ネオニコチノイドはアセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム。ネオニコチノイド系農薬としてはフィプロニルを含む。
※2:国連食糧農業機関(FAO)の試算による
※3:2013年に公式に発表。ニコチン性アセチルコリン受容体という神経細胞にネオニコチノイドが結びつき神経伝達に混乱をきたすという、ラットの細胞を使用した実験報告による。
※自閉症・ADHD など発達障害増加の原因としての環境化学物質 ――有機リン系,ネオニコチノイド系農薬の危険性(上・下)/ 黒田洋一郎氏・木村―黒田純子氏)
※4:第 28 回環境化学討論会,池中良徳,口頭発表(埼玉;2019 年)
ネオニコチノイドの母子間移行の実態と移行メカニズムの解明
https://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2019/06/kankyokagaku.pdf
※5:浸透性殺虫剤タスクフォース「浸透性殺虫剤の生物多様性と生態系への影響に関する世界的な統合評価書(https://www.actbeyondtrust.org/report/3705/)
※6:規制の種類が限定されていることについては、その他のネオニコチノイド系農薬についてはが未承認であったり、登録取り消しであったりするという要因があります。
有機農業ニュースクリップ http://organic-newsclip.info/index.html
http://organic-newsclip.info/nouyaku/regulation-neonico-table.html

 

 

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※1参照:農林水産省サイト:家畜排せつ物の発生と管理の状況(平成31年調査)(令和2年)/農林水産省生産局畜産部畜産企画課 畜産環境・経営安定対策室:家畜排せつ物の管理と利用の現状と対策について(平成27年)

※参照:有機JAS講習会テキスト/特定非営利法人有機農業認証協会

※参照:有機農産物検査認証制度ハンドブック(改定第五版)/農林水産省消費・安全局表示・企画課

※有機JAS検査員監修の下、記事を作成しております

 

 

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